公開日:2001-01-01

更新日:2012-12-14

FFTの距離単位「セクタ」についての考察

  1. 沈没船の位置特定で使われるらしい
  2. セクタ=海里?
  3. 超高山と超超巨大ロボットと超超超巨大植物
  4. 参考

沈没船の位置特定で使われるらしい

取り敢ず「セクタってなに?」と思われた人のために、まずは以下の引用文を読んでいただくところからはじめよう。

リオファネス湾沖15セクタにある、グレディア島。あの島の辺りは海流が激しく、よく貿易船が座礁をおこす場所として知られている。中には完全に沈没する船もあったらしい。貿易船は大陸からの品々を数多く積んでいる…。やってみる価値はあると思うぜ。

情報屋ズッキーニ

リオファネス湾沖15セクタに位置するグレディア島周辺でまたも貿易船が座礁するという事故があった。この船はイスタブル商会所属の大型貿易船フィラデルフィア号。船舶登録をしていなかったことから、当局が船内の検証を行ったところ、積み荷より大量の麻薬を発見。末端価格にして約7000万ギル相当の麻薬は、大陸から密輸されたものであった。

セイジスタ湾沖35セクタに、貿易船ドイング号が沈没してしまいました。ドイング号には、社長のお気に入りの商品が載っているのです。お願いです、なんとか引き上げてください。

ガレスタ商会 部長

沈没船引き上げの依頼だぜ。オベル湾沖16セクタに沈没した交易船ヒンデンブルグ号の引き上げだそうだ。なんでもサルベージ協会は仕事料が高すぎて、安く作業してくれる人間を探しているらしい。

ザランダ酒場のマスター

カーネーン湾沖40セクタに、貿易船ドーガ号が沈没してしまった。ドーガ号には、大陸からの貴重な交易品が数多く載っている。なんとか引き上げてほしい。

バンベル交易所

ジリス湾沖20セクタに、貿易船ハイウィンド号が沈没した。ハイウィンド号には、我が社の社運をかけた商品が載っているのでなんとか引き上げてもらいたい。

パルサンバ商会

とまあこんな風に、セクタという単位は航海上の距離単位として比較的全国的に用いられていたようだ。……それにしても、イヴァリースってちょっとぽこぽこ船が沈みすぎなんじゃないだろうか? まあ、沈んでくれた方がラムザ達もお宝をみつけやす――いや、ゴホン。失礼。

確かに、船が沈むということ自体は、歴史的に見てもそう珍しいことではない。タイタニックなんて有名な例を出さずとも、初めて世界一周を果たしたあのマゼラン一行の一つ「トリニダート号」なんて、香料の詰めすぎで沈没するというギャグとしか思えないような事件も起こしているのだから、イヴァリースの船が多少のことで沈むのもいたしかたがないとも思える。それは良しとしよう。だけど、それじゃあなんで沈んだ船を片っ端からサルベージしなきゃならんかったのだろうか

サルベージ(salvage)とは、元々「海難救助」という意味の言葉だが、一般的には海底に沈没した船を海上、あるいはそれに近いところまで引き上げる作業を指す。船というものは浮かんでいるうちは空気をため込んでいる分比重が小さいが、一旦沈んでしまうとその空気が逃げてしまう。そのため、沈んだ船を浮上させるというのは案外面倒なのである。実際、現代社会においても余程社会的か軍事的事情がない限り、滅多に行われることはない。

だいたい財宝目当てであれば、わざわざサルベージなんてしなくとも、こちらから潜ってお宝を回収しに行った方が遙かに手っ取り早いハズだ。サルベージと違って潜水は歴史が深く、古くはギリシアの時代から行われていたという。畏国人はギリシア人よりも莫迦なのだろうか? それとも、船そのものを引き上げなければならない何か深いわけがあったのだろうか……??

セクタ=海里?

ああ、いつもながらすっかり話が脱線してしまった。ひとまずサルベージの謎は脇に置いて、セクタの話に戻そう。

海でよく用いられる距離の単位と言えば、パッと浮かぶのが「海里」(浬)である。諸外国との排他的経済水域問題などで良く耳にする単位だ。但し海里という観念が生まれたのは近世以降の話であるため、イヴァリースにそれに相当する単位があったかどうかは定かではない。まあ、イヴァリースの技術は私たちの想像を遙かに超えて進んでいる[1]ようだから、海里もあったということにしよう。

1海里は現在、メートル法の下で1852メートルと定義されている。メートル法が定まるまでは微妙な差違があったようだが、細かいことを言っていても仕方ないのでどんどん話を進める。

セクタ=海里だとしたら、リオファネス湾沖のグレディア島は約28km(およそ東京駅から横浜駅までの距離)となる。地図上ではすぐ近くに見えるんだけど、結構離れてたんだねえ。まあ、イヴァリースの端から端までだいたい740kmなのだから、今更驚かないのだが。それでも、ドーガ号の沖合74kmというのは、ここまで離れてしまうと、ちっとやそっとで引き上げるのは難しそうなんだが…。

[註.01] 儲け話を注意深く読んでいくと、ホントにFFTは中世の話なのかと疑いたくなるような驚くべき事実が、それはもう次々と出てくる。この話についてはまた別に機会を設けてじっくり考察するつもりだ。

超高山と超超巨大ロボットと超超超巨大植物

いよいよどうして、イヴァリースの技術は進んでいたんだなあ。めでたしめでたし。……などとすっかり感心していたのだが、その直後、私は思わず目を疑いたくなるような記述に、しかも四件も出会ってしまった。一瞬「見なかったことにしようか」などとも考えてしまったが、久幸繙文FFT特集には「全ての真実をあますことなく白日の下に」という理念がある。今こそ虚栄の闇を払い、真実なる姿をあるがままに示そう!

約5000年前に活動を停止したと云われているグルグ旧火山。あの辺りは、昔から危険地帯に指定されており人気も少ない。しかし、我々は見たのだ。推定地下300セクタで炎の女を! そこだけはまだ溶岩が燃えたぎり、その炎の中に彼女はいた。近くの住民の話によると、昔少女が火口に転落する事故があったらしい。我々はそこに小さな礼拝堂を建て冥福を祈った。

我々は、ランベリー城都市内にある古屋敷の調査へと向かった。そこでは、見たこともない大型の機工道具が用意され、全長4セクタはあろうかという人形が造られていた。その時、我々に気付いた人形、ゴーレム魔人が襲いかかってきたが何とか撃破! そこに帰ってきた人形の制作者Dr.ゲルを当局に連行した。供述によると蘇生錬金の実験を行っていたとのこと。

ゴッドキャニオンに神を見た! 我々は神の鉱石を探して、神の渓谷ゴッドキャニオンを発掘していた。30セクタを掘った時、発掘路はカタコンベへと通じてしまった。礼拝堂を建て冥福を祈る我々の前に、何処からか光輝く衣をまとった男が現れた。呆然と立ち尽くす我々の前で、男は再び何処ともなく消え去った。あれがもしや神なのだろうか…?

伝説の食人植物「ラフレシヴァ」が実在していたことが明らかになった。ラフレシヴァは直径5セクタにもなる巨大な花で北方に生息していた。発見したのは我々派遣部隊で、植物採集中の出来事だった。我々に感づいたラフレシヴァはその巨大な触手で襲ってきたが、間一髪で逃亡に成功。歴史的な発見で、学会も盛り上がるであろうことはまちがいない。

……どれもこれも信じがたい話である。55万5600メートルの山? 全長7408メートルのゴーレム?(しかも屋内開発5万5560メートル掘った? 直径9260メートルの食人植物?(人どころか街ごと食えるわ!)――いくらイヴァリースがダイナミックだからって、どう考えてもやり過ぎである。

というか、こっちの話を信用するのであれば、素直にメートルを当てた方がかなり妥当な気がする(まあ、直径5メートルの食人植物ってのも、普通に考えればかなりデカイのだけど。何せ世界第二位の大きさを誇るラフレシアでさえ、直径は1メートルそこらである)

が、そうなると、今度は前半の部分が怪しくなってくる。リオファネス湾とグレディア島はたった15メートルしか離れていないというのか。確かに、日本の小豆島にある土渕海峡という海峡は最狭幅9.93メートルという世界記録を持っているのだから、まああり得ないというわけのことでもないのだろうけど……そんなとこに船――それも大規模な貿易船を通そうとすりゃ、座礁して当然じゃん。何考えてんだ? イヴァリースの皆様は…。

とまあそんなこんなで、謎だらけの距離単位「セクタ」についてのお話でした。

参考